
始めて中島みゆきを聞いたのは確か、
46年前のことだった。
車のAMラジオからアザミ嬢のララバイと
アナウンスされたその曲は、短調ワルツなのに、
印象的な声は耳から離れなかった。
中島みゆきは凄いアーティストだ。
そう思ったのは「時代」を初めて
聞いた時の感動からです。
シニアには懐かしいポプコンで優勝。
その後世界歌謡祭でグランプリを受賞
した曲です。
この曲は「日本の歌百選」に選出され
教科書にも掲載されるほどの名曲です!
今、現在苦しむ人、悩む人にそっと
寄り添う歌詞に涙する人も多いでしょう。
この歌詞は
♪ まわる まわるよ
時代はまわる 喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐり会うよ ♫
人生は良いことばかりは続かない。
しかし、悪いことも長くは続かない。
だからこそ「今は」辛くても
いつかまた笑える日は必ず来る。
そんなメッセージを中島みゆきは
サラリと教えてくれます。
実を言うと私は中島みゆきさんの
CDは1枚も持っていません。
80年代、90年代はトレンドに合った
楽曲を若者に提供していたユーミン
のCDばかり購入していました。
ユーミンはトレンドキャッチャーで
当時の流行を少しでも早く知りたい
若者たちに向けて、恋愛条件のバイブル
の如く、若者たちに支持されいました。
私も同類でした。
キャッチーで耳障りが、良い
ユーミンですがどこか住む世界
が違うなと、感じていました。
さて、中島みゆきさんの
「空と君とのあいだに」は70年代、
80年代を経た1994年に147万枚と
彼女、最大のヒットを記録した曲です。
ご記憶の方も多いと思いますが
日テレ系ドラマ」『家なき子』の
主題歌としてテレビで話題と
なりました。
「同情するなら金をくれ」
当時、安達祐実の劇中のセリフは
センセーショナルを引き起こし
ました。
家庭内暴力を描いたこのドラマは、
少女が理不尽な環境の中でも、
困難に負けず生きていく様を
描くドラマです。
「空と君とのあいだに」は中島みゆきが
すず役の安達祐実の相棒、犬のリュウ
の目線で作ったと言われています。
犬の目線で見れば、すずが君で、
見上げる視線には空と君しかない。
ドラマを見て泣けるのか。それとも
歌詞にある僕(犬)の献身的愛情に
ほだされ涙腺が緩むのか。わかりません。
中島みゆきさんの声質は、基本的に
深いブレスがあって、力強い声質を
生かして朗々と歌い上げます。
また、情景や詞の中の感情により
いくつかの声色を使い分けられる
優れた歌唱力をお持ちです。
♪ 君が涙のときには
僕はポプラの枝になる
孤独な人につけこむようなことは
言えなくて
君を泣かせたあいつの正体を
僕は知ってた
ひきとめた僕を君は振りはらった
遠い夜
ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも
空と君とのあいだには
今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら
僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには
今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら
僕は悪にでもなる ♫
中島みゆきさんの歌詞はたくみな
比喩が多く使われています。
1曲目の出だしでは
♪ 君が涙のときには
僕はポプラの枝になる ♫
君が悲しんでいるとき
犬である僕は何もできない。
僕はポプラの枝になって
風から君を守るんだ。(風を防ぐ木に
なり君を守る)そんな意思を感じます。
♫ 孤独な人につけこむような
ことは言えなくて ♪
安易に優しい言葉をかけるのは
悲しんでいる者にとって本当に良い
ことなのか?という心情を感じます。
僕はただ黙ってそばにいる。
僕は君を守ることが大切だから。
♪ ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも ♫
私はこの辺りからいつも、感極まって
きます。
私たちは困っている人に対して何か
特別なことが出来るわけではない。
ただそこにいてくれるだけで
何もしてもらわなくても
それも優しさなのです。
そして初めて聴いたときに
ドキリとしたこのフレーズ
♪ 君が笑ってくれるなら
僕は悪にでもなる ♫
誰かを守るため悪いことをするのは
本当に悪なのか?
自分の利益のための悪行は悪。
誰かを守るための悪行は愛。
僕は愛する人を守るためには
悪く思われることをいとわない。
引き換えることのできない
愛の形ではないでしょうか?
サウンド的にはシンセサイザーと
キーボードピアノが徐々に盛り上り
そしてイントロ最後に電子ピアノと
シンセサイザーが気持ちよく混ざって
中島みゆきの少し抑えた声が良く通って
始まります。
前半部分は長調ですが、最後のサビでは
短調に変調され荒々しく歌いあげます。
中島みゆきさんは言葉を語るような
表現力が凄まじく、人の心を掴む
歌い方です。
話し声の抑揚が豊かで、音域の上下幅も
すごいです。
声質でも声帯が良く鳴るので優しい
表現から激しい表現まで歌い分け
できるのです。
中島みゆきの曲が40数年間
愛されて、いつまでも聞かれるのは
多くの人々の心に寄り添い、エールを
送る曲を多く歌い続けてきたからです。
コロナ禍で苦難を強いられている
今の時代だからこそ、
人と人がつながることの大切さを
教えてくれます。
生きることの大変さを、歌うことで
聴く人の背中をそっと押してくれる。
中島みゆきさんが愛されるのは
時代を超えた歌詞の“普遍性”と“説得力”
なのです。
無人島でCDが1枚だけ聴けると
したら私は中島みゆきのCDを
持っていくでしょう。
いつまでも傍に寄り添い生きて
行けそうだから。
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